前回、Unite 2018 Tokyo で行われた個別セッション、一條 貴彰 さんの「Audio機能の基礎と実装テクニック」と言うセッションを紹介しました。
Unite 2018 Tokyo:「Audio機能の基礎と実装テクニック」一條貴彰さん Part 1

そこで最後に少し彼の過去のセッションについて触れました。
2年前 Unity 2016 Tokyo での彼の「狂気講演」と言われているセッション、「Unityを使った個人ゲーム開発における『収益化』の現状と未来」です。
私が当時衝撃を受けたセッションです。


今回はこのセッションから紹介いたします。

彼はこのセッションで「収益化」を「開発したゲームから価値を生み出せる状態にする」こととし、そのために必要となる「完成させる」「知ってもらう」「販売する」に関して詳しく説明されていました。
まず、1つめの「完成させる」について,彼曰く自分の苦手な部分は軽減したり代替する手段を探すのが有効とのこと。
苦手な部分が原因で投げ出してしまうことは避けるべきと言っています。
もしモデリングが苦手ならアセットストアを探すとか、デザイナーに依頼する手段も考え完成させることを目指すべし。
また、自分に適度なムチを打つのも必要と。
開発中のゲームを展示会に出展することをSNSなどで公言して、自分を追い込むことが特に良いと。
これは、特によく分かります。ゲーム展示会への出展宣言は私もやってみようかな。自分にかなりムチ打つこととなるでしょうが。
そして、継続性も重要で、毎日Unityを立ち上げ少しでも作業を行うことが効果的とのこと。
特になるほどと思った言葉は、集中力は金を出してでも手に入れるべきであると。
彼のやっている方法は、コワーキングスペースを使うこと。他の利用者も集中して勉強や作業をしている空間なので、たいてい有料だが とても集中して開発が進むらしいです。
また、数多く開催されている勉強会や交流会の参加も効果的とのこと。

2つめの「知ってもらう」に関して、「存在した時点で勝つ」ことが大きなポイントになるそうです。
そのために狂気こそが,ゲームそのものを記憶に焼き付ける要因であると。
彼の作った「Back in 1995」では、1995年当時のローポリにとことんこだわり、わざと当時の技術的限界で生じたテクスチャの歪なんかも再現。
また、狂気の他の例として、ぬっそさんが開発した「ACE OF SEAFOOD」を紹介。実物の魚をスキャンしてモデリングした魚を操作するシューティングゲーム。
この狂気を発見できるかは未知数であり、発見できたら、「こんなゲームを作りたい」ではなく、「こんなテーマのゲームがあれば,プレイヤーはこう楽しんでくれる」と考えるべき。
そして、一條さんのここでの言葉もすばらしい。
曰く、こうしたゲームは必然的にニッチな層を狙うことになる。その人達には確実に刺さるよう、狂気をより尖らせる必要がある。逆に刺さらない人から反対意見も絶対あるので、そこは「そんなこと知ったこっちゃない。それより開発だ。Not for you!」と考えるべきと。

最後に「販売する」に関しては、イベントへの出品、ショップへの委託,Steamやコンシューマプラットフォーム,パブリッシング支援事業者等を利用した流通方法が紹介されていました。
パブリッシング支援事業者にはそれぞれ特色があるので、「やっていること」「ジャンル」が自分と合っているものを選択することが重要。
当時の私はSteamの存在をここで初めて知ったわけです。彼のこの紹介が、その後この手のことを調べるきっかけとなりました。
一條さんは、個人のゲーム開発者が生き残るには,定額販売に戻るか, 新たなビジネスモデルを模索するかのどちらかしかないと言う話を当時からしています。定額販売に関しては、「Back in 1995」の売り上げで彼自身が生活できるかによって検証しているとのこと。
そして、最後に彼が強調していた話として、上述したことと絡みますが、「お客さんを選ぶ権利を意識する」こと。
ターゲットではないプレイヤーには「お断り感」を出して良いと。
「Back in 1995」の例では、対象年齢を30歳前後に絞り込んでおり、これはこの低ポリゴンのグラフィックスは、今の若い人には魅力は伝わらなく、スマートフォンへのリリースも考えていない。ゲーム用のハードやデバイスを買うような,能動的なゲーマーに向けて作っているとのこと。
この話は2年前なので、低ポリゴンは Mincraft なんかのヒットで馴染みの多い若者も増えてるかと思いますが、このお断り感を常に持つことは、ゲームに限らずとても重要かと私も思います。
全てのことに対して全ての人を良く思わせるのは不可能なので、これを理由に動き出さないのはもったいない。よく自己啓発系の話でもありますね。

この当時見た Unite のセッションの動画の中で彼のこのセッションが最も自分にゲームアプリ開発のモチベーションを高めてくれたと言えます。この「狂気講演」は名講演ですね。

「好きなゲームを作り続けるために、僕らは何をすべきか 」
また、昨年の Unite 2017 Tokyoでの小規模なセッション「好きなゲームを作り続けるために、僕らは何をすべきか 」と言うのでも、この一條 貴彰さんが語っています。


このセッションでは他に2名の方が参加している、パネルディスカッション的なセッションとなります。
他の2名とは、海鮮シューティング「ACE OF SEAFOOD」を開発した ぬっそ こと大貫真史さんと「Missileman」を夫婦で開発している 大橋信伸乃介さん。
基本的に司会者の方が質問して、それに答えていくスタイルのセッションです。

まず、最初の質問は「これまでにどのようなプロモーション活動を行ってきましたか?」。
これには、皆さん やはり展示会への出展やメディアリリースと言う王道の手段を行ってきたそうです。
メディアへPRの連絡を行い、デジゲー博、Unite、東京ゲームショーなどに出展し、そこでプラットフォームの担当者なんかと知り合い、フィーチャーにつなげたと言うはなしです。

次の質問は「海外展開を視野にいれてましたか?」。
それに対して、皆さん意識していたが、日本を重点的にやっていたそうです。
しかし、作ったゲームがどの国の人に対して刺さるかを意識してプロモーションを考えることが有効とのこと。

次は「ストレートに聞きます!収入は会社員時代より上がりましたか?」。
一條さんは、ゲーム開発以外の収入も含めて会社員時代より上がっているとのこと。
大貫さんも会社員のときより多いらしいです。大橋さんは、ヒット作を出していますが、かなり下がっているとのこと。
やはり皆さん収入には波が出てしまって個人ゲーム開発だけで安定させるのは厳しいようです。

次に、「誰かとパートナーを組むとしたら、どんな人がいいですか?」と言う質問。
みなさん、仕事が早いとかより世界観が伝わる人、話が通じる人が良いようですね。価値観が近く、こちらから一生懸命コミュニケーション取らなくても良いような。
そりゃそうですね。

そして次に、「どのような人が個人ゲーム開発に向いていると感じますか?」。
思いついたらすぐ手を動かし始めることができ、そして それを継続できる人。
また、自分で作りたいゲームが明確にある人、とのことです。

このように先を行く個人開発者の話を聞けるセッションはとても貴重ですね。
後から続く人たちにとって、ためになる情報の宝庫であり、モチベーションも上がります。
自分も役にたつ情報があるか分かりませんが、できる限りブログ、SNS等いろいろ場所で発信を心がけます。

Sponsored Link