前回、前々回に引き続き、6月19日にベルリンで行われた Unite 2018 Berlin の Keynote の内容を紹介します。この Part3で最後にします。
Unite 2018 Berlin:「Keynote」Part 1
Unite 2018 Berlin:「Keynote」Part 2

【Book of Dead が Asset Storeに】
まず今回の最初は、Demo Team の Silvia Rasheva から、GDC2018 で初めて公開された “Book of Dead” のプロジェクトが Asset store にてリリースされたことがアナウンスされました。
“Book of Dead” と言えば、アメリカのウェビー賞も受賞した、Unity の HDPR(High Definition Render Pipeline)を使った、あのむちゃくちゃ美しい作品ですね。
Unite 2018 Berlin_9(デモ映像の切抜き)
あの美しい世界が単なる映像作品ではなく、とうぜんゲームのシーンとして使えるようになっているのですが、これで、その “Book of Dead” の設定が勉強できるわけです。
すばらしいですね。
ゲーム開発の中でも 私はあまり見た目へのこだわりはないですが、あそこまで映画のような美しさの設定方法は参考にしてみたいです。

【新機能 2D Animation System】
ここからはいくつかのショーケース的に、Unityを用いて開発したすばらしいゲーム作品を紹介。
まず最初に Head of Cinematics の Adam Myhill が Slow Bros の Creator and Co-founder である Onat Hekimoglu を紹介。
Slow Bros の作品は「Harold HALIBUT」と言うアドベンチャーゲーム。
これは、Stop-motion で作成したクレイアニメーションのような雰囲気で興味のそそられる映像ですね。
Unite 2018 Berlin_10(デモ映像の切抜き)
Onat 曰く、これらはほんとうにまず、粘土、木、金属で模型を作成。それを3Dモデル化し、アニメーションに関しては、Motion capture を使用したとのこと。
そして、これを HDRP を使って、光や色を まるで現実のような見た目までクオリティを高めています。
デモの映像を見ていると、ほんとに光にすごくこだわって作ったのがよく分かります。粘土で作ったようなキャラクタと現実世界のような光とのミスマッチがとても幻想的に感じます。

次に、Technical Product Manager 2D の Rus Scammell が登壇し、2Dの新しい機能2つを紹介してくれました。
その2つとは「Sprite Sahpe」と「2D Animation System」です。
まず、「Sprite Sahpe」は2Dのレベルデザインを視覚的に容易に行うためのツールです。
デモでは横スクロールの2Dのマップで、地面をマウスでドラッグしながら自由に形を変えるようなことを披露していました。
そして、「2D Animation System」は、普通の Single Sprite に自動でボーンを入れて、自動でメッシュを入れることにより、簡単に2Dのイラストを動かすことができます。
これにより、人のイラストを手や足を動かしていき、簡単に歩いているアニメーションを作れてしまいます。
Unite 2018 Berlin_11(デモ映像の切抜き)
 これはすごいですね。使ってみたい。3Dゲームでもちょっとした UI上の2Dイメージにアニメーションをこれで付けてみたいな。
これらはこの当日から Preview版をリリースするとのこと。
ちなみに、この紹介で使ったデモは、Zoink! Games の Flipping Death と言うゲームだそうです。

次に Head of Made with Unity の Isabelle Riva が Madfinger Games で CEO & Creative Director を務める Marek Rabas を紹介。
Madfinger Games からは多くのメディアから高い評価を受けた「SHADOWGUN LEGENDS」が紹介されました。
Unite 2018 Berlin_12(デモ映像の切抜き)
Nintendo Switch からもリリースされますとアナウンスしていました。

次にまた Isabelle Riva から「GTFO」と言う作品を作成した Ulf Anderson を紹介。
このゲームはいくつかの大きな賞を既に受賞しているとのことです。
が、驚くところはこれを8人で作成されたとの話です。デモムービーを見ると、8人で作られたとは思えないクオリティですね。

【Unity のインフラが Google Cloud に】
次に CEOの John Riccitiello が再度登壇して大きな発表がありました。
この時一緒に Google Cloud の CEO Diane Greene も舞台に現れ、共に Unity のインフラが Google Cloud に移行され、Unity が Google と業務提携を行うと発表。
開発者に Connected games を容易に開発できるための開発環境を提供するとのこと。
この業務提携に至った理由として、現在のゲームは Multiplayer Game や Social Game 等、多くのネットにつながったゲームが成功を収めている。
それを示す数字として、以下の様な数字を紹介。
Steamでのよく遊ばれるトップゲームの87%、Twitchでの良く見られるトップゲームの90%、そして、Google Play上のアプリで収益をあげている90%はネットにつながっているとのこと。
Unite 2018 Berlin_14(デモ映像の切抜き)

そして、その具体的内容を VP Cloud Services の Suhail Dutta が紹介。
その Connected Games には Scalable,、Approachable が重要としたうえで、この Google Cloud の開発環境で開発、環境、ユーザのニーズを満足できるようにいくらでもスケールすることが容易になると。
特に小規模なゲーム開発者に言えるかもしれませんが、Connected Game の開発に Cloud の専門家は必要ないとのことです。
そして、また Lucas が現れデモを実施。その Cloud につなげて、ネットワークゲームのデモと、サーバー上でのデバック、リソースの監視なんかを披露しました。

【New Prefabs Workflow】
そして、最後に CEO John Riccitiello がほんとにだまされたのか分からないですが、CEOは知らされていない感じで、この Keynote の締めの言葉を始めます。
すると後ろ以下の様なにコメントが。
Unite 2018 Berlin_15(デモ映像の切抜き)
「この男、何か忘れている」と。
そして、サプライズ的に Co-founder である David Helgason が登場。
映像をみるとほんとに CEOの Johnはこれを知らなかったように見えますが。

そして、David に紹介される形で Designer, R&D の Nikoline Hogh が登場して、この New Prefabs Workflow の説明を行いました。
Control と Productivity を意識して開発した新しい Prefabのシステムは Prefab Mode、Prefab Variant、Nested Prefabs と言う機能があります。
要は、今までの Prefabをいちいちシーン上に置いて、編集して元の Prefabに Applyするようなことをせずとも、Prefab Modeで直接 Prefabを編集できるようになります。
デモでは Prefab Modeで編集すると、シーン上の Prefabのコピーがリアルタイムで反映されていきました。
Unite 2018 Berlin_16(デモ映像の切抜き)
そして、Nested Prefabs で Prefabを多人数で同時開発ができるとのこと。デモでは花の Prefabをネストして、シーン上のコピーに反映させていました。
Unite 2018 Berlin_17(デモ映像の切抜き)
これで、確かに今までに比べてすごく良くなるかと思います。しかし、今までが微妙だっただけのような。
この、New Prefabs Workflow は2018.3でリリースするとのこと。しかし、Preview版はこの Uniteの当日からリリースしたようです。
ところで、今までの Prefabシステムが使いやすくなるのは良いが、会場でのこの盛り上げ方は異常な気がする。
多くのまったく新しい新機能を搭載した、Unityのまったく新しいバージョンがリリースされるくらいな盛り上がり。なぜ?これも国民性?

と言うことで、3回にわたって Unite 2018 Berlin の Keynote の紹介をしました。
この Berlin の Keynote、いつもの Unityの Keynoteに比べて異常な盛り上がり度合いだったような。
エンターテイメントを観ている感じでもあり、楽しかったです。
他の国の Uniteもこんな感じになってくると良いですね。シンガポールの Uniteは規模が少し小さいから、予算的に無理だろうな。

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