前回に続き、10月23日から10月25日にアメリカ ロサンゼルスで行われた Unite Los Angeles 2018Keynote に関しての紹介です。今回は最後となります。

Unite Los Angeles 2018:「Keynote」Part 1
Unite Los Angeles 2018:「Keynote」Part 2

また、本ブログを以下の Youtube動画を基にしており、何分のところから次のトピックが始まるかを示しています。


【1:14:00:Disneyの新Real-Timeアニメーション】

前回の最後に紹介した Lydia White に続いて登壇したのは、The Walt Disney Company で Senior Manager, R&D, Direct-to-Consumer and International を務める Kaki Navarre
Disney の R&D の取り組みとして、2016年から Real-Timeアニメーション に興味を持ち、TVビジネスに取り入れることに注力したきた。今までのアニメーション作成にはコスト、スピード、品質のバランスが重要で、通常どれかを取るとどれかが欠ける傾向にあった。しかし、Real-Timeアニメーションはこれら3つ全てを同時に高めることができる。かつ、Real-Timeで作成しておくと、ゲーム化、VR/AR化も簡単にできるメリットもあると。

そこで、今回、DisneyとUnityが協力して、Big Hero 6シリーズを基にした新TVアニメーション Baymax Dreams を作成。Disney のアニメーションのエキスパートと、Unity のゲーム開発者、映像の専門家がチームを組んで作り上げたとのこと。
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この新番組は Disney Now と Disney Chanel で視聴可能だそうです。


【1:18:47:Real-Timeアニメーションの修正デモ】

次に、Unityで Technical Director を務める Lucas Meijer と、Assistant Director として Baymax Dreams 作成に取り組んだ Mark Droste が登場。
今 Disneyの Kaki Navarre から紹介のあった Baymax Dreams の1シーンを直接 Unity エディタで思い通りに修正していくデモを行いました。
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元のアニメをハロウィン風に変えようと言う Lucasの提案で、Markが Unityエディタを操作。元々空から赤いレーザーが放たれるのを、巨大なゾンビ羊が空から落ちてくるシーンにあっさり変えたり、色や明るさ、昼間のシーンから夜のシーンへと変えていきます。
そしてゲームモードで、そのアニメを試してみます。5分であっさり完全に別なシーンを作ってしまいました。
ちなみに、この2人のやり取り、Lucas のハイテンションと、Mark のゆっくりとぼけたような反応がとても面白かった。完全に打ち合わせていると言うより、その場のノリな気がする。

そして、この2人の話の最後に、再度 Disney の Kaki Navarre が現れ、アナウンス。来年初旬に Disney Now から Baymax Dreams を基にしたゲームをリリースする予定とのことです。Real-Timeアニメーションだと1からアセットを作る必要もないので当然ですよね。


【1:29:09:Film Makingに関するトピック、DMMとのM&A】

次は、Sr. Product Marketing Manager, Film である Natalie Grant が壇上に現れました。
彼女から Real-Time Film Making に関しての説明がされます。特に実際の俳優が Virtual の CG環境で演技する Virtual Production に関して。この「Virtual Cinematography」の2つの大きなトピックについて。

まず、Visual effects and Film production Studio である MPC Film。彼らはほとんどがCGで、Photorealistic movie の Disney の「The Jungle Book」で 2017 Academy Award を受賞しました。
彼らが実際の俳優が演技するとても美しい CGの Virtual Worldを作り出すのに使用したのが Unityと言う訳です。
次に、オスカーへのノミネートや Visual Effectの BAFTAに受賞歴のある Digital Monarch Media について。彼らの「Ready Player One」や「Blade Runner 2049」が大ヒットしました。もちろん彼らはそれらに Unityを使って、あの近未来の Virtual Worldを作った訳です。

ここで、Natalie からスペシャルアナウンスがあるとの話があり、舞台には CEOを始め Keynoteの登壇者全員が出てきます。
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そして、CEOの John Riccitiello がマイクを取り、今話のあった Digital Monarch Media との M&A を発表。DMM の Wes Potter と他のメンバーも舞台にあがり、彼からも挨拶がありました。
Keynote冒頭でも CEOの John が Unity はゲーム以外の産業にも力を入れていくと言ってました。その1つに Film業界も上げてましたが、その1つの大きな取り組みとしてこの M&A があるわけですね。


【1:36:30:パフォーマンス向上技術のデモ】

この1つ前の M&A の発表が Keynote の最後かなと思えるような感じに全員出てきたので、出だしがやりづらかったと思いますが、次は Unity Co-Founder, CTO の Joachim Ante と Technical Art Director の Martin Kummel が登壇。
彼らからはパフォーマンスに絡む技術についての説明が行われます。どんな大きなコンテンツでも安定的に60FPS が出ることを目指しているとのこと。

そしてデモが披露されます。しかし、デモが起動しないで再起動と言うトラブルが発生。(こんな状況でトークが面白い Technical Director の Lucas だと時間を埋めるため何を話すか見たかったですが。)
そして起動後、美しい香港風な SFの街に多くの浮遊する車が走り、そこを自分の Flying Car を操作するようなデモが流れます。
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説明によると、5000の個別の AI Agents を持った Flying Car がそれぞれ事故が起こらないように他の車を認識しながら自動運転しているとのこと。そして、画面中にそびえ立っているそれぞれのビルに200,000のオブジェクトを使用して、100,000の個別の Audio Sources も使用しています。この一見して巨大なコンテンツと分かるゲームシーンを 60FPSで表示しています。
これを実現しているのが、以前の Uniteからいろいろなデモで説明されている新パフォーマンス向上機能の C# Job SystemEntity Component SystemBurst Compiler です。

また、最後にJoachim が Mobile Phone を取り出し、今見せたデモを Mobile Phone上で実行。とてもスムーズに動き、大きな歓声が沸いていました。
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そして彼から、Entity Component System と Burst Compiler はバッテリー消費とパフォーマンス向上にも優れているとの説明がありました。
ここで披露されたデモは 2019年からアセットも含めて公開されるとのことです。

あとは、全員が舞台に出てきて、最初に登壇した Director of XR Reseach Labs の Timoni West が締めの挨拶をして終了です。

と言うことで、3回に渡って Unite Los Angels 2018 の Keynote に関して紹介しました。完全に Unite Keynote ウォッチャーになってきましたが、私の興味のある個別セッションが公開されていれば、そちらの紹介もできるだけやっていこうかと思ってます。


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