今回ご紹介するのは「AR戦略:拡張現実の並外れた可能性」と言う本。本というか論文というべきでしょうか。
ダイヤモンド社の ハーバード・ビジネス・レビュー(Harvard Business Review)と言うビジネス雑誌は有名ですが、そこの特集記事が個別に売っているのですね。そして、今回紹介するのが、Harvard Business Review に載ったARに関する特集記事が個別販売されたもの。

技術と戦略についての論文で有名なハーバード大学の マイケル E. ポーター(Michael E. Porter)が寄稿したものです。




【内容】

ARについて、デザイナーが見たい新たなアイデア、開発者が見たい新技術 なんかが載っている訳ではないです。事例なんかも最新の事例がいっぱい と言う訳でもないです。
私にとって良かったのは、今まで感覚的にとらえてデザイン、開発を行っていた「AR」に関して、根本的な目的や意義がはっきりとした言葉で表されていて 明確に認識できたことです。

例えば、そもそもARの意義とは。本書の言葉も借りながら一部を少しだけまとめると。
現在のデジタルデータとその応用先である物理世界との間には大きな隔たりが存在します。現実世界は三次元だが、判断や行動の参考にするデジタルデータは依然として、二次元のページや画面で表されています。
要はスクリーン上にページとして表示した情報には大きな制約があり、二次元情報を三次元の世界で使えるように変換する必要があります。これが容易にできる人もいるだろうが、全ての人がそう言うわけではありません。
そこで、AR。ARは現実世界のモノや環境の上に、デジタル情報を直接表示するので、我々は物理世界とデジタル世界を頭の中で橋渡ししなくてもよくなります。

例えば本書にあった例として、AR HUD。これはナビゲーション情報をフロントガラスの前方にじかに表示します。それにより、情報を活用するための知的努力を軽減し、気が散るのを防ぎ、運転ミスを最小限に抑え、意識を道路に集中させる効果がある訳です。
と言うような感じです。

また、この点をより深く考察すると、情報を収集、処理する能力が必要とされる度合いを「認知的負荷」と呼びます。その大きさは、与えられた情報を処理するのにどれくらい頭を使うかによって決まります。
認知的負荷は「認知的距離」とも言え、情報の提示法とその情報を当てはめるべき状況との隔たりによっても左右されます。「百聞は一見にしかず」と言うことわざの根底には、この情報の伝達吸収速度と、その情報を応用する際の認知的距離の相乗効果あると言える。
こんな感じで、受けたことはないですが、大学のARの講義なんかのような基礎が抑えられている内容です。

機械学習なんかのエンジニアでは大学でしっかり専門的に勉強したエンジニアはいっぱいいるでしょうが、ARに関しはけっこう感覚的にやっているエンジニアも多いのではないでしょうか。
私もそうですが、そう言う方々には一度読んでみると、ARのアイデアを考える際の基盤になるかと思います。

【作者】
作者は上記した通り、技術と戦略についての論文で有名なハーバード大学のマイケル E. ポーター(Michael E. Porter)がハーバード・ビジネス・レビュー(Harvard Business Review)に寄稿したものです。
彼の著書で最近和訳されたものとしては、以下のようなものがあります。
(彼のベストセラー本に今の時代の状況を追加した新版です。)

[新版]競争戦略論Ⅰ
マイケルE. ポーター
ダイヤモンド社
2018-07-26


[新版]競争戦略論Ⅱ
マイケルE. ポーター
ダイヤモンド社
2018-07-26



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