前回から、3月16日から3月22日に アメリカ サンフランシスコ で行われた GDC2019 (Game Development Conference)Unity Keynote の内容を紹介しています。

「GDC2019:Unity Keynote」の紹介 Part 1

前回はその Unity Keynote の前半1時間を紹介しました。今回はその続きの、後半1時間の紹介となります。

GDC2019_24(動画より)

また、この当日の Unity Keynote の模様はライブストリーミングされ、現在は以下の Youtube からその動画を観ることができます。このイベント紹介では みなさんの関心のある部分を直接見られるように、この動画をベースに何分のところから次のトピックが始まるかを示しながら、当日行われたスピーチの順番で紹介していきます。



【1:00:00:ARのクラスプラットフォーム AR Foundationの紹介】 

とうとう私のお待ちかねの AR Foundation の話です。
Sr Technical Product Manager, AR/VR の Brittany Edmond と AR/VR Evangelist の Dan Miller が登壇。まず2人により AR Foundation の説明がされました。
GDC2019_11(動画より)

AR Foundation は Android にも iOS にも Deploy できるクラスプラットフォームであり、10億のモバイルデバイスに ARを提供可能である。AR Remote と言う Editor から AR可能なモバイルデバイスに接続して Editor上で実行できる機能もある など。
また、AR Foundation は完全に Unity に特化してるので LWRP、ECS も Mobile AR で使えると。この AR Foundation は Editor から Packageをダウンロードするだけで利用可能です。

会場では AR Foundation のデモとして、タブレットを使用して Megacity の Spaceship を AR上で表示していました。このデモがまたすごくて、7000を超えるゲームオブジェクトを ARとして会場に出現させて、それを 60FPSで表示していました。LWRP、ECSを Mobile AR で使える効果はすごいですね。
GDC2019_12(動画より)

この AR Foundation、 現在 Preview版ですが、2019.2から正式リリースとのこと。


【1:07:00:ハードに合わせた動的な調整 Adaptive Performanceの紹介】
 
次に Sarah Levantine (Lead Producer, R&D Platforms) が登壇して、現在モバイルデバイスは高性能機と低性能機が混在しており、皆 Quality と Performance のどちらをとるかで悩んでいる。そこで、この両立をハードウェアの力を借りずソフトウェアで解決するためAdaptive Performance を開発したと発表。
GDC2019_13(動画より)

この Adaptive Performance はハードウェアに合わせて動的に調整がされる機能とのことで、あの巨大デモの Megacityをモバイルで実行するデモを披露しておりました。
この「Adaptive Performance」の Preview が Coming Soon とのこと。


【1:11:00:HDRPの使用事例を紹介 1】

次に現れたのは OtherSide Entertainment で Studio Director を務める Warren Spctor。この会社は「System Shock 3」と言う FPS の RPG ホラーゲームを最近リリースしました。
GDC2019_15(動画より)

そのホラーゲームの恐ろしいシーンをより恐ろしい雰囲気にするためにビジュアルがとても重要だったと言うことで、Unity の HDRP を使用してライトとシャドーを美しく恐ろしくつくりあげたとのこと。

そこで、Elizabeth LeGros (Graphic Programmer, OtherSide Entertainment) と Lucas Meijer (Technical Director) にバトンタッチをして、彼らが Unity Editor上で そのゲームのデモを行いました。
GDC2019_14(動画より)

デモのシーンはキャラクターが透明な袋みたいなものに閉じ込められているシーン。ライトによる反射がとても良い感じで、HDRPによるものと言うこと。色合いや透明度を Dynamic に変えてゲーム内で確認するようなデモでした。また、Dust がライトの中の空気中を漂う雰囲気もとても良く出ていてリアルでした。

当然、Shader Graph を使用したのでこの Graphic Quality を Artist が簡単に Codingなしで作れてしまったとのこと。


【1:19:00:HDRPの使用事例を紹介 2】

次は Oddworld Inhabitants の Co-Founder and COO である Lorne Lanning が登壇し、映画のような映像の「SOULSTORM」を紹介。これを HDRP を使用して Real-Time lighting を行っていると。
GDC2019_16(動画より)

そして、その詳細説明を Bennie Terry (Executive Producer, Oddworld Inhabitants) が行いました。
キャラクターの HDRP 使用前後の画像を2つ並べて比較。HDRP の利用でキャラクターが Flat ではなくなり、より立体的に見えるようになり、光の振る舞いなんかが洗練されたと説明。彼曰く、HDRP の使用でキャラクターの肌や特徴がより物理的に正確になったとのこと。


【1:24:00:Burst CompilerとBurst Inspectorツールの紹介】

次は Technical Director の Lucas Meijer が単独で現れ、DOTSData-Oriented Technology Stackを紹介。DOTS は C# Job System / Burst Compiler / Entity Component System からなりますが、今回は Burst Compiler を解説。特に、そこに含まれる Burst Inspector ツールを紹介していました。
GDC2019_17(動画より)

Burst Compiler が C#スクリプトを高度に最適化した形で Assembly Code に変換してくれますが、その様子を確認できるのが Burst Inspector。Burst Inspector上の 左側には Job一覧が表示され、右側には Burst Compiler が作成した Machine Instruction が表示されます。そして開発者は正確に何が起こっているかが理解できるとのこと。

この Burst Compiler は Unity 2019.1 から正式リリースとのこと。


【1:27:00:Megacityプロジェクトのリリース】

そして次に登壇したのは Unity Co-Founder, CTO である Joachim Ante です。彼が登壇して毎回話す内容はパフォーマンス絡みです。
今回はまず、前回の Unite で紹介されたデモプロジェクトのMegacityについて。
GDC2019_18(動画より)

この Megacity、近未来的な街に多くのビルが立ち並んでいるのですが、その1つのビルが20万個の Entity が使われている正に Megacityなプロジェクト。これの Full Project をこの当日からリリースとのアナウンスがありました。
(この Megacity、DOTS の利用で快適に動くのでしょうが、このプロジェクトを Unity Editor に取り込む際にハングしないのか心配。。。)


【1:33:30:HavokのPhysicsをリリース】

そして引き続き Joachim AntePhysics について、Physics に特化している havok と Partnership を結び、havok の Physicsエンジンを取り入れるとアナウンス。
ユーザーは Unity Physics と Havok Physics が使えるが、Data Protocol 層がこれらの違いをカバーしてくれると説明。
GDC2019_19(動画より)

そして、Havok の Physics Architect である Oliver Strunk を紹介して、彼と共に Physics のデモを披露。Collider、Collision、Physics Material、Constrain、Rigidbody のデモとして、鉄やタイヤを投げ比べて自然差を見せたり、ロボットを大量に落下させてパフォーマンスを見たり・・・、いろいろな面白いデモをしていました。
GDC2019_20(動画より)

これらの Physics は Unity Physics Engine がこの当日、Havok Physics が今年の夏後半にリリースするとアナウンスしてました。


【1:42:30:Graphicsをより良きものにする取り組み】

次に登壇したのは Natalya Tatarchuk (VP, Graphics) です。彼女は毎回 Graphics 絡みのプレゼンをするわけですが、今回、Unity の Graphics をより良きものにする取り組みとして Partners、Talent、Innovation と言う切り口で紹介。
GDC2019_22(動画より)

まず Partner として SUBSTANCE の Workflow を紹介。この当日から Beta版の利用が可能で、この春に正式リリースすると発表。

そして Talent として、virtual texturing streaming のパイオニアである GRAPHINE が Unityファミリーに仲間入りしたと発表。

そして最後に Innovation として、BMW, NVIDIA, LIGHT SHADOWS と組んで作成した BMW のデモを披露。
GDC2019_21(動画より)

HDRP、4KのRendering、NVIDIAのGPUを使用して最高にリアルを追求した そのデモは半分が実写、半分がCG、いくつかのシーンでは2台の車が映っており、どちらかがCGと言うもの。
要は光の反射が実写映像と CG映像の見分けがつかないのです。すごい!
(自分がやっているモバイルゲーム開発ではここまでできないし、必要もないのですが、Unity の使い道が増えると言うことは嬉しいことですね。)


【1:53:30:デモムービー「THE HERETIC」の披露】

そして、Producer, Demo Team の Silvia Rasheva が登壇して、新たなデモムービーを紹介します。今回のデモムービーはTHE HERETICと言うタイトル。

そして、「THE HERETIC」が上映されました。このデモチーム、毎回 Unityを使って映画さながらの映像を出してきます。前の「Adam」の際はロボットだったわけですが、とうとうリアルな人間の CGを出してきました。ほんとにリアルな人間のCGです。
やはり何かの賞を狙いにいっているのでしょうね。
GDC2019_23(動画より)

この映像が流され後、再度 Natalya Tatarchuk が現れ、Unity Editor 上でこの映画のような美しい映像を解説。HDRP を利用して実世界のようなリアルな Lighting と Shadow を実現しています。ほんとうに顔の表情がとてもリアルに見えます。光に関する物理的な計算を正確にしてくれるので簡単にこうもリアルにできるわけですよね。
GDC2019_25(動画より)


そして最後に、彼女から Unity2019.1 がこの春にリリースとアナウンスがあり Keynote は幕を閉じました。



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