今回は「ゲーム開発者の地図」と言う本の紹介をします。
デジタル書籍のみの本ですので、お値段も約500円とお安いですが、ページ数は予想以上に多くておどろきです。読むのに予想よりかなり時間がかかりました。

本書は個人ゲーム製作者で かなりの実績のある著者 SmokingWOLF さん(個人開発歴20年)が、長年のゲーム開発を通じて得た知識や経験をまとめたものです。
 

お薦めできる対象は、ゲーム開発者に限らず、単にゲームが好きと言うような方にも面白いかと思います。
開発のTIPSも多いですが、RPGのあるある雑談もかなり多いので、RPG好きな人が読むとより楽しめるかと思います。

この著者であるSmokingWOLFさん、20年もの長き間、個人開発メインで行っている方。ゲーム開発20年はいくらでもいるでしょうが、個人開発20年はすごいなと、まずそこで驚き。
彼は特にPC版のゲームを数多くリリースされております。その中でも「シルフェイドシリーズ」や「片道勇者」などヒットしている作品も多くあります。
特に私がすごいと思うのは「WOLF RPGエディター」ではないでしょうか。
彼のRPG作成経験を基に、彼自身でRPG開発ツールまで作りリリースされています。 それは無料ツールとして公開されているようで、毎年夏に「WOLF RPG エディターコンテスト」を開催されているそうです。毎年多くの方が参加しているようで、今回2018年はもう10回目だそうです。
個人でここまでやれてるのは驚異的ですね。
 WOLF RPGエディター コンテスト

個人ゲーム開発者としては、かなり豊富な経験がある成功者の1人と言えるかと思います。
彼の個人開発者としての活動は、ゲームに関係なく、単純にこちらのモチベーションもあげてくれますね。

実際の彼の開発活動内容は少しRPG的な作品が多く、本書もRPG的な発想が多いので、やはりRPG好き、RPG開発者の人に特に本書はお薦めです。
私はRPGに関してそこまでの想いはありませんが、本書から開発TIPSなんかの自分に活かせそうな部分をいくつも見つけられて良かったです。(特に後半の開発に関わる部分。前半はかなりRPGネタとなっております。)

特に面白かったと言うか、共感したのが、かなり後半に書かれていたゲームを完成させる方法について。
特にモチベーションのことに言及して、よく大規模なシステム開発で行われるWater Flow開発は行わないほうが良いとの提案。
少しだけ紹介させて頂くと、彼曰く、以下の3ステップで開発を行います。

<1.あり得ないと思うほど小さいが最低限を網羅したゲームを作る。>
これは骨だけのゲームと言えます。 基本、仮の部品を使っても可です。仮のイメージとか。 しかし、後から変更すると影響がでかいものはきちんと決めておく。(画像サイズとか。)

<2.ひとまず最初から最後まで終われる公開可能な短編ゲームを仕上げる。>
骨だけであった最低限のゲームに肉付けをします。ここでは、骨は追加しないように。 とりあえず公開できるものを仕上げ、その後、機能アップしていくことができるので、そのままリリースしてもかまわない。 1.で凝りすぎていて最後まで行けないと感じたらここで修正する。

<3.やる気、ネタが尽きるか、期限が来るまで作りこむ。>
骨を含めて機能追加をしていく段階。リリース後に行うのも良い。 追加して面白くなる順に行う。しかし、注意点はいつでも完成と言える状態を維持すること。

彼曰く、この方法の大きなメリットは、いつでも止められること。1.で仮につまらないと分かって捨てることになっても、被害度合いはそんなに大きくない。
しかし、これは上級者用の開発手法となります。 なぜなら、1.の骨だけを作る あまり面白くない部分が前半けっこう続いてしまう。
そして、面白くない部分だけで、最終的にできるものが予想できなければならないからだそうです。

また、他に強く共感したところとして、例えばグラフィックを改良するような 作ると見た目がきれいになるなど、投入した時間の成果が目に見えて分かりやすい部分は、やる気が下降しそうなタイミングにとっておくとのこと。
要は成果が実感できる部分を効果的に使おうと言うことだと理解しましたが、私もよくやっています。
私の場合、目に見えなくても作業が何個進んだかを実感するための方法として、プログラミング自体を効果的に使います。
と言うのは、私にとって、グラフィックや3Dモデル、また、初のツールやライブラリを使う部分で使い方が分からず進まない部分が一番時間がかかるところとなります。
土曜日一日作業して、実績がそれだけだと 自分として頑張った感がでないので、やれば確実に進んでいける機能の追加プログラミングなんかをそこに持ってきます。 そして、2つ機能追加と3Dモデルを進めたみたいな感じの達成感を作り上げています。

そんな感じで、私にはゲーム開発の観点からみて、自分の開発に取り込めるような考え方や知識が載っていて本書はとても良かったです。
しかし、最初にも言いましたがRPG色が強いので、特にRPG好きや、RPG開発者の方が読むとより共感ができる部分も多く、得られるものも多いかと思います。

また、この著者のSmokingWOLFさん他にもいくつかデジタル書籍を出しております。以下にいくつかリンクを付けておきます。





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